Old Toilets in Japan, Tokoname, Aichi Prefecture
84歳の私の母は大の緑茶好き。とりわけ急須にはこだわりがあり、常滑焼の急須を母の日に何度もプレゼントした。あの赤銅色のつるっとした肌合いの陶器で入れたお茶は、まろやかで香りよく、格別なんだそうだ。
常滑焼の急須、赤土で作られている |
ということで、陶磁器で有名な常滑に行ってきました。駅を出て左に行くと、まず緩い坂道がある。有名な「とこなめ招き猫通り」。道沿いには39体もの様々な招き猫が並ぶ。
焼き物通りウォークはここからスタートして、つづら折りの狭い道を両脇に並ぶ焼き物屋さんや土管を敷いた庭などを眺めながら歩く。GWの真っただ中、快晴に恵まれたその日は家族連れも多く、にぎわっていた。お年寄りには格好のウオーキングコース、子供たちもあまりマスクを気にせず嬌声を上げている。
焼き物散歩道、土管を捨てずに再利用 |
Recycled clay pipes in the garden |
歩き疲れたので休憩をして、高台から町を眼下に望む。レンガ色の煙突が澄んだ青空にニョキニョキと立っていて、「ああ、ここは古くからの焼き物の町なんだなあ」と実感。その先には青い海が広がり、窯炉で焼きあがった陶器はあそこから船で出荷されていたのだろうと思いをはせる。
煙突が立ち並ぶ常滑の町 |
焼き物散歩道を一巡りしたので、次は南へ足を伸ばして、INAXライブミュージアムへ。歩くこと約20分。結構疲れましたが、訪れる価値ありの場所でした!
ここで見学できるのは、まずタイルの歴史そしてトイレの歴史。世界のタイル博物館(1F)では常設展として「装飾する魂」が開かれている。タイルというのは木造家屋の多い日本ではあまり馴染みのあるものではない。生活を彩るオブジェぐらいに私は思っていた。でもあれは立派に「絵」なんですね、人々の憧れや信仰を表している。
たとえば、世界最古のエジプトのタイルは美しいオーシャンブルーに彩られ、王の再生や復活を願ってピラミッドに張られた。
偶像崇拝がタブーのイスラムでは、人物や動物は描けない代わりに精密な幾何学模様を生み出した。
産業革命時代のイギリスでは富を得た中産階級がアールヌーボーの様式美を生活の中に取り入れた。そして日本人は?
銭湯のタイル壁に富士山を描いたのです!
ピラミッドに残る世界最古のタイル |
イスラームのタイル張りドーム天井 |
真骨頂は企画展示室(1F)で見られる古便器コレクション「デザイン性豊かな昔の便器」。そうです、INAXといえばTOTOと並ぶ日本の2大トイレメーカー。
青磁の古便器 |
暗い空間を華やかに彩った昔の小便器 |
人目をはばかる空間で昔は「ご不浄」とも呼ばれた日本のトイレ。江戸時代末から明治にかけて、便器はそれまでの木製から、衛生的で耐久性のある陶磁器製に変わっていった。染付で華麗に絵付けされたものや、青や緑の釉薬が縦に横に流し掛けられたものなど、焼き物として装飾が施された便器は、暗いトイレを華やかに彩る意匠だったようだ。
実は、うちの隠居にもそんな古いトイレがあった。懐かしいなー。あれは昭和40年代、祖父母の部屋の隣に青磁のアサガオ(小便器)が佇んでいた。孫の私は少し気味悪く思いながらも、その横を通り障子の部屋を開けたものだ。
INAXライブミュージアムには、非水洗式の大小便器、尿瓶やおまる、厠下駄など、陶磁器製のトイレコレクションが600点近くある。ぜひ一度のぞいてみて。
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